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2015年8月12 被災地報告
平成27年8月11~12日 被災地訪問で感じた事
8月11・12日とSmile With You Projectの被災地支援プロジェクトに参加した。大きな活動の中身は、石巻市雄勝町の大須浜祭りを手伝うことであった。
Smile With You Projectは、震災後に北村氏、木部氏とともに立ち上げに関わった一人として特別な思いを持っている。
11日は、石巻市の大川小学校に足を運んだ。ここは2011年6月にSmile With You Projectの1回目の活動で訪れ、その後も石巻に行く際は必ずよる場所にしている。その理由は、自身の職業柄なのかこの場所で起きた被害が強く記憶に残り、震災後3ヶ月たった時に見た景色が鮮明に焼き付いているからである。五感を最大限に働かせてこの地で起きた震災を自分事(当事者)として感じ考える場所でもある。大川小学校の景色は、訪れる度に変わる復興の様子を表現しているようにも思う。今回大川小を訪れて心に残っているのは、献花していた親族(おそらく)である。当日は月命日で花を持って慰霊碑の前で手を合わせていた。そこでは、NHKの取材陣が同行し撮影をおこなっていた。その様子を見ていると、直感的になぜ親族は取材を引き受けたか、決して快く思っていない感じがした。本当のところは、何もわからず想像にすぎないが、ある女子中学生の作文が頭のなかに浮かんだ。両親を震災でなくした彼女は、学校では悲しい顔を見せずクラスのリーダーとして明るく一生懸命活動していたそうだ。生徒同士で決めた夢や希望をのせて風船を飛ばすという運動会の閉会行事で、彼女は「この風船を手放すとお母さん、お父さんを忘れてしまうのではないかと風船が放せず涙がでた」と作文に綴っている。被災した人それぞれが復興へむけてがんばろう、夢や希望を持って前へ進もうとするけど、そこには言葉にできない葛藤がある。この作文を思い出したとき復興が進み変わりゆく景色のなかで、声にできない心の中に押し殺している言葉を親族の姿から見たように思う。
大須浜祭りは、地元のかた、地元以外のかたと半々いたように思う。祭りは、多くの支援のもと開催されていた。祭りの企画のカラオケ大会は会場を盛り上げていて年の差を超える人気だった。また健康体操にご高齢の方が楽しそうに積極的に参加しているのが印象的であった。参加者が非日常生活の祭りに興じているなかで、会場の空気が変わったのが、夕方の灯籠流し、夜の花火だった。海に浮かぶ灯籠の火は会場の雰囲気を落ち着かせ、花火があがると、さっきまで元気一杯張り切って屋台で働いていた方が涙をボロボロ流していた。あちらこちらですすり泣く声が聞こえた。
祭りでは主にホタテ釣りのブースを担当した。100個あったホタテは、日が暮れる頃にはすべてが釣られ、焼かれて胃袋の中に収まった。地元で捕れた大量のウニは無料で配られおいしく頂いた。さすがは海と共に生活する町だった。隣の浜から来たという24歳の漁師と出会った。震災で雄勝地区の人口の減少、家を失い仮設住宅暮らしで漁師をやめる人も多いそうで、彼は雄勝地区最年少の漁師で、次に若い漁師は40代とのことだ。彼は震災後に修行にでていたマグロ漁船から雄勝の漁業を復興させるために戻ってきたと語った。大須浜出身の20代前半の若者たちも祭りに参加していた。彼らは、宮城県内や関東から祭りがあるからと地元に戻ってきていて、現在大須浜に住んでいるものはいなかった。雄勝が復興していくためには、高齢化が進む町に若者が戻って来ることが必要だ。大須浜祭りに参加した若者たちが、今後どのようにふるさと関わっていくのか、彼らとのつながりを大切にして考えていきたい。
この被災地支援プロジェクトで、心惹かれる2人の人物に会った。雄勝歯科診療所の河瀬先生と東浜の漁師、元東浜地区災害対策本部長の豊島さんだ。河瀬先生は震災後から雄勝地区で歯科医療を続けている方で、祭りのときにはたくさんの方々から声をかけられ、そして何かトラブルがあると先生のところへ掛けよって地元の人が相談している姿がとても印象的であった。支援活動の1つのかたちとして現地で生活をともにする大切さや、地域に根ざす医療の必要性を感じた。豊島さんは、私たちが東浜に着くと、Smile With You ProjectのTシャツを着て笑顔で出迎えてくれた。Smile With You Projectの報告の写真で目にしてきた、対策本部の小屋に案内してもらい当時の話を聴いた。豊島さんが最近被災地で感じることは、「みな自助の心は持っているけど、このところ共助の心を持っていない」ことだという。豊島さんにいただいた「3.11あの日から」の本やお会いしているなかで感じる豊島さんは共助の心であふれかえっていたように思う。人として大切なことを豊島さんから学んだように思う。
その他にも特定非営利活動法人ジェンの新井さんや石巻仮説住宅自治連合推進会の川谷さんらにお会いした。Smile With You Project被災地支援プロジェクトへの参加は4年2ヶ月ぶりであった。2011年は何ができるのか手探りではじめた支援活動だったが、今回被災地へ行くとたくさんの方々が笑顔で出迎えお世話をしてくれた。これは4年の間にSmile With You Projectが被災地に足を運び、丁寧に人と関わり、こころを通わせてきた支援の成果だと思う。支援は一方向だけでなく、支援は相互の関係に寄ってなり立つもので、さらに支援は人から人へ連鎖していくものである。Smile With You Projectをはじめたときに最低でも10年と活動の継続を決めた。大須浜の若者の一人は、「本当の復興は30~40年かかるんじゃないですかね」と言う。これからも学生への情報の発信と仲間を集いプロジェクトに参画していきたい。そして、頻度は低いかもしれないが石巻へ帰り出会った方々と笑顔で再会し続けていきたい。この度は、被災地支援プロジェクトに参加させていただきありがとうございました。
続木