Smile With You TOP >> 被災地報告 >> 2012年8月26日 活動報告
2012年8月26 被災地報告
初めてのボランティア活動と被災地訪問で感じたこと
思えばこれまで私はボランティアというものをしたことがありませんでした。東日本大震災が起きて義援金を送ったり、募金したりもボランティアなのかもしれませんが、自分が直接何かをする、というボランティアはしてこなかったように思います。
 今回、同級生だった北村君に声をかけられたとき、一体何ができるんだろう?というのが正直な思いでした。何かをするには、することの責任をきちんととれるようなことをしたい、と重くとらえていました。
 1年近くが経つ被災地。まずはHANA荘というところに午前中はお邪魔しました。海の近くで、がれきはないものの、半壊した家や、基礎のみとなってしまったところに夏草が生い茂り、まるでもともと原っぱだったかのようにもみえました。しかしまわりの建物は新しいものがほとんどで、地震や津波で何もなくなってしまったのだ、ということを突きつけられます。
 元気にはしゃぎ回る子供たち。近くでは夏祭りが行われており、カラオケ大会に参加する方、地元の踊りを披露される方。地道にボランティア活動を継続されている方たち。なんだかそこにいる人たちをみていると、生きる力にあふれているように感じます。
 午後は大きな被害のあった大川小学校や雄勝町のあたりに連れて行ってもらいました。鉄筋コンクリートの壁が抜け、中の鉄筋もまるでちぎられたかのようになっていて、2011年3月11日にここにいた児童や職員の皆さんの恐怖を想像すると、居ても立ってもいられない気持ちになりました。今も水浸しの土地、きれいに分別されているものの遠くまで続くがれき置き場。
 地震と津波で多くの方が亡くなり、住むところも着るものも食べるものもなくなったことは分かっていても、午前中に会った方たちは、生きる力にあふれているけれども、本当に多くのものを失っているのだ、ということにつくづく気づかされました。
 私は東京で訪問看護師をしています。地震のあった日は患者さんや家族の安否を確認しに夜まで訪問し、翌日も電話や訪問でフォローをしていました。その後も地震におびえる高齢者や家族のケアをしてきました。災害時の医療的な備えなどもおこなってきましたが、1年を越えた頃から、少しずつ地震の話題は消えていきました。本当に目の前のことのみをしていました。でもまだ東日本大震災は終わってなどいないのです。
 前述のようにボランティアの経験などもなく、被災地に対する意識の低かった私ですが、被災地に行って、ちょっとだけ変わりました。また東日本大震災の話をまわりの人たちとするようになりました。

船浪 紀子