Smile With You TOP >> 被災地報告 >> 2011年6月12日 活動報告
2011年6月12 被災地報告
平成23年6月12日被災地訪問から感じたこと
被災地に行ってみて感じた最初のことは、被害地域があまりに広いことでした。車で走っても走ってもがれきの山が続いていました。驚くことにその様な場所が沿岸部に多数あるということです。そして、海から距離のある所でも被害が出ていて、今さらながら津波の威力というか圧倒的なエネルギーに驚かされました。
また、沿岸部は写真にあるようにがれきが山のようにあり元々そこに何があったのかわからないような状態でした。3ヶ月経ってもこのような状態であったので、津波直後の状態は想像を絶していたのだと思わされました。
最近のテレビや新聞などのメディアでは復興が進んでいることや、物資は余っていて支援は受け付けていないなどの報道が目につく一方で、現地の人からは夏物の服やタオルケットが足りないとの声もありました。現地の沿岸部ではまだまだがれきが山のようにあり、とても復興が進んでいるとは思えない状態でした。その状態は人が少ない地域に行けば行くほど顕著で、女川の外れや雄勝の港付近では石巻周辺とのギャップに目を疑ったほどです。やはり、メディアが入っている場所は復興が進んでいる地域であり、全く手付かずの地域が数多くあると予想はしていましたが、これほどまでとは思っていませんでした。 そして、メディアのいうような復興は決して順調に進んでいる訳ではないことを感じました。しかし、現地でも沿岸部から少し車で走って、津波の被害にあっていない内陸部のコンビニへ行けば、東京と変わらない品揃えで営業もしていたし、ファストフード店も通常営業していました。 大型家具屋では、駐車場が一杯で渋滞していました。 そんなことは、東京にいてメディアからは全く入ってこない情報でしたし、余りの矛盾さとギャップに深く考えさせられました。
今回の訪問で1番疑問に感じ、根深い問題と感じたことです。避難所によって、環境や食料事情があまりにも違いすぎる事です。ある大きな避難所では炊き出しのラーメンなどには目もくれない状態でした。みたらし団子を作っていたボランティアさんが、誰ももらってくれないから食べて欲しいと私達に温かい団子を渡してきたほどです。そこは物資も潤沢にあり、大道芸人のパフォーマンスを多くの避難所の人達が観ていました。その避難所のすぐ近くでは、他県からきたボランティアさん達ががれき整理をしてました。いったい誰の街を復興しようとしているのでしょうか?また、そこから車でそう遠くない避難所では、昼ご飯はなく、朝はおにぎりかパン1個、夜は3ヶ月ずっと同じ幕の内弁当と言っていました。物資の交流はないのでしょうか?隣の困っている人は、自分が困っていたら見捨てても良いのでしょうか?そんな人間としての根源的な問題が見え隠れしていて、色々と考えさせられました。
避難所には、数は少なくなったとはいえ、まだまだ多くの人がいらっしゃいました。僕たちが物資を持っていくと、いくつかの避難所のリーダー格の人達に「いい物があるならもらってあげるよ」とか「それは欲しいから適当にそこに置いておいて」という事を言われました。通常の社会生活を送っていると、そんな言葉のやり取りはまずあり得ません。例え、どんなに辛い状況でも私はリーダーとしてそのような事は言いません。そんな小さな一言が支援者との関係を悪くする可能性があるからです。そんな基本的な事も気にかけられない程、震災の影響というものが大きいのかもしれません。
しかし、避難所には、僕たちが持っていった夏服やタオルケットを「大切に使います、ありがとう」と言ってもらっていくおばあさんもいましたし、避難所から僕らの車が見えなくなるまで手を振ってくれている人もいました。また、将来復興したらこの場所でソフトボール大会を開くから是非一緒にやろうと言ってくれたおじいさんもいました。
被災地からの帰りの車で僕は、"被災者=いい人"と思い込んでいた事に気がつきました。被災者だから、全員がいい人であるはずがなく、色々な人がいることが当たり前です。それは、被災地だから特別という訳ではなく、東京や自分の周りの社会と同じなのです。でも、残念ながら被災者を批判するのは良くないとか被災者だから大目に見ようという空気が世の中にあるのも事実です。1人の人間として接する以上、被災者には多少の配慮は必要でも、必要以上の配慮は必要ないと思いました。支援を受けるのが日常化してしまう事で、復興もいつかするのではないかと思っているのではまいかという人もいましたが、自分の力で立ち上がって復興すると言っている人もいました。色々な人がいるはずなのに"被災者"という一括りで考えるのは大きな間違えだったとわかりました。

被災地訪問から1番感じたkeywordは"自立"でした。そのために必要なのは被災地に寄り添った長期に継続的に行われる、物資を渡すだけというのではなく、自立をサポートするボランティアだと改めて思わされました。
北村良平